2月見たもの

2月見たものの話をするぞ〜

 

ディパーテッド

めっっっっちゃくちゃ面白かった。ブラピに感情移入させつつそれぞれ置かれてる立場のジレンマ、次にどうなるか分からない展開、面白かった。生きることは辛く死ぬことは楽というテーマを感じさせるラスト。個人的には訴えられてムショ暮しの生きるつらさでも良かったかなと思うけどまぁそれまでずっと生きるつらさパートがあったから死エンドも納得。めちゃくちゃ面白かった。

 

ファイナル・カウントダウン

過去は変えられない。このクソ映画を見た記憶を消せないように──。

本当にクソ映画過ぎてビックリした。「現代の軍事力がタイムスリップ」という小学生が脚本書いても面白くなりそうな題材に唾をはきかけクソで塗り固めた駄作。これがトップガンより制作費高いという地獄。

唯一良い点はアメリカ海軍がめっちゃ協力してくれてるので空母も戦闘機もなんでも贅沢に見放題でカッコイイ。これは本当にかっこいいし嵐に突入するまでのワクワク感も素晴らしい。

ただそれ以外は全部クソ。まず主人公らしき奴が全く何もしない。唯一やったことは隣の部屋を荒らして注意されたのに懲りずにまた部屋を荒らしてドヤ顔で嫌味を言うだけ(しかも2回目の荒らしも全く脚本に影響しない)。映画に限らず物語って主人公が何か行動を起こすことで進むべきだと思うんだけどコイツはただ艦長や士官に文句と嫌味を言うだけで、何なら物語中でも艦長から「お前船降りろ」と言われている(でも降りない)(そういうとこだぞ)。

次に展開が遅く、そして発展しない。100分の映画で主人公が「俺たちはタイムスリップしたんだ!」と確信を持つのに50分ぐらいかかる。いやミッドポイントってそこじゃねぇだろ。見たいのはタイムスリップした空母が何するかであって主人公達が何もしないまま右往左往している絵面では無い。艦長が乗組員に「我々はタイムスリップした!」というのが残り20分。遅いとかそういうレベルか?????

主人公が乗ってくる意味、上院議員達を救った意味、ヘリが爆発した理由、戦闘機が戻ってきた理由(ヘリが爆発したとこで爆笑してたのに戦闘機戻ってきてジャーン!って音楽なってまた笑った)、そもそも零戦2機撃墜して上院議員救ってるのにバタフライエフェクトを気にせずタイムパラドックスのみに言及しどうする?どうする?ってなってるのも無駄だし捕虜のせいで乗組員しんでるのに乗組員なんも騒がないしヘリ爆発してもみんな帰れてやったー!みたいな雰囲気になってるし(中佐直属の部下はなんも言わなかったんか?)本当に脚本の粗を探すとキリがない。

ジパング戦国自衛隊を期待して見てしまった俺が悪いのかもしれないけどこれ2023クソ映画アワードノミネートです。

 

『甘美なる誘拐』

ミステリー読んだの中学生とか以来かもしれない。普段、というかほとんどドラマは見ないけどドラマにしたら面白そうな作品だなと思った。悠人の性格含めて。

ほかのキャラクターに対して悠人が軽薄すぎたり主人公二人の異常なまでのローキック多用暴力的コミュニケーションは作品から浮いてるような気もするけど、映像として撮ったらエンタメ的にも面白くなると思う。むしろ悠人の軽さがあるからサクッと読めるのかも。

 

レイジングブル

DV彼氏の主人公。

牢屋に入れられた時、自省して冒頭に戻るのかなぁと思ったらまさかの僕は悪くない発言でビックリした。ここまで強く自分を持っているからチャンピオンにまでなれたってことなのかな。主人公の立ち方が圧倒的だった。やってることはすごい酷いんだけど嫌いになることはないしむしろ好きになるというか応援したくなる。自らが招いた孤独だけど、その孤独の中で闘志を燃やす姿がかっこよくもある。多分見る人によっては主人公大嫌いって思うだろうな。

 

『傲慢と善良』

辻村深月、やっぱオモレ〜〜〜

辻村深月の描く人間や家族ってどこかで見たことあったり身に覚えあったりして読んでて気持ちいい。自分の中に確かにあるけど言語化されていない感情を正にピンポイントで文章にしてくれる。

丁度アイマスを家庭環境を絡めて考えていたのでその時期に読めたのもまたタイミングが良かった。真実の母親がまぁ田舎の母親って感じで個人的に自分の経験とも重ねながら読んでいた。二章の人間の変わり方も良かった。ドライだけど暖かな関係の中で徐々に人間性が変化していき、自分の意志を見つける物語。

 

ラストサムライ

やっぱり面白い作品って面白いんすね。ただ感想として本当に何も出てこないし残らない。まぁ多少のズレがあるとはいえ日本人以外が作った作品でここまで日本人像を描けてるのは素直にすごいと思う。でもラストは土下座じゃなくて敬礼やろ。敬礼が西洋軍隊なら江戸は土下座なんかなぁ?うーん

 

バックドラフト

「もうサイレンは聞きあきた」で逝かせる演出渋すぎるだろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

あと主演のボールドマンの顔に色気ありすぎ(秋葉流みたいな顔)。歌とともにシーンが映されて時間経過する場面は流石に古めの映画だなぁという感じがしたし話としては無茶苦茶どんでん返しがある訳でもないけど、キャラクターと人間関係を描ききってて好きです。なんかもう漫画だろうがなんだろうがキャラクターが立ってれば全部おもろいのかも(この場合のキャラクターは属性ではなく周りの人間との関係で浮かび上がるもの)。

 

ソーシャルネットワーク

面白かった。莫大な成功は得たけど唯一の親友を失い、成功者でありながら振られた女の動向が気になって仕方ない...なんとも切ない。

面白い映画って結局人間と人間関係で出来てるというか、自分が面白いと感じる琴線はそこにあるのかな。

 

キャストアウェイ

トムハンクスにハズレなし!おもしろかった。

導入までがかなり丁寧(すぎる)気もしたけど、無人島に流された主人公が正気を保ち弱い自分を奮い立たせるためにバレーボールを友人に見立てるの良かったなぁ。人はたとえ嘘でも一人ではないと思うことが大切で、そして動けないボールという自分より弱いものをそばに置くことでこいつを守らなければという行動原理にもなっていて、そして何より塗ジン等での生活の象徴となっている。中盤に彼と強制的に分かれることで島との暮らしが終わったことの暗示になっていて、彼を捨てられたから船に助けられた。

あと最後元婚約者と二人の気持ちが通じていることを確かめたうえで彼女を帰すのも現実的でよかった。子供の写真、夫の写真、生活すべて見てそれでも自分についてこいとは人はいえんよなぁと。寂しいけどこれが現実だよなと感じさせるいいエンディングだった。え?通りすがりの人に助けられるラストシーン?あったかなそんなの…。(無人島と違って人が助けてくれるとか選択肢が広がっていることを言いたいのはわかるけどその前の妻とのシーンが良すぎてかすんでしまった)

 

フルメタル・ジャケット

今回一番話したい話。

今月は一度見たミリタリ映画を見まくってたのだけどフルメタル・ジャケットは何回みても面白い。唯一複数回見た。

話として面白いのは間違いなく映画史上屈指のキャラクターを持つハートマン軍曹と微笑みデブの出てくる前半。

ハートマン軍曹、鬼なんだけど行軍訓練ではデブの銃持ってやったり押してやったり、常に落第者のデブのそばにいてやって彼の成長を促してくれてるのが優しい。でもデブは何回言われてもやる気ないし(特にジョーカーに対して「俺嫌われてる」というとこ、シャツのボタンも閉めてもらいながら俺なんも出来ねぇとか嘆いたりその割にシャツを入れただけでドヤ顔したりこいつに問題がありすぎる。でも全く憎めないんだよな)、ドーナツは隠れて食うし最後は逆恨みで軍曹撃ち殺すし救いようがない。最後のパパとママの愛情が足りなかったのか!という台詞に尽きる。微笑みデブ、地元で親の家業とかついでればもう少し幸せだったのかと思うけどコイツが家業を上手くやれそうもないし無理だろうな。かなしい。

マンガのキャラクターを作る上で、「なんでコイツはこういう性格なんだろう」ということを語ることなく自然に読者に思わせたら勝ち、ということを以前どこかで聞いたことがあるけど微笑みデブはまさにその典型だと思う。多分親も微笑みデブのこと大好きで、可愛い子に旅をさせる感覚で泣く泣く海兵隊に入れたのかなと考えたり。それで卒業直後にアレでは親が可哀想な気もする。

あと今回は以前見た時より撮り方に注目して見てみた。勿論なんの知識もないけれども。キューブリックはシャイニングしか見た事がなかったけど、その時凄い対称性のある図を撮る人だなと思っていてこれもそうだなと思っていた。調べてみるとキューブリックは一点透視図法を使っているという記事があって、確かに注意して見てみるとまさにその画が多い。あと動いてるものと動かないものを同時にカメラに入れることも多い。戦場でのインタビュー、カメラの焦点は画面手前の兵士にあるけど常に後ろに動くものが画面を行き来していて飽きない。フィルムで兵士を歩きながら撮るシーンも初めはカメラを回す3人だけが動いているんだけど途中からそれが逆転して3人が画面端で固定してるのも面白い。極めつけは微笑みデブドーナツ貪りシーン、一点透視で動かないデブを中心に周りがひたすら腕立て伏せをしているの、凄い綺麗な画。この作品を何回でも見れるのは話の面白さ以上にキャラクターと画面構成なんだなと感じた。

 

余談っていうかもうお父さん自分語りしちゃうぞ〜^^

もう余談の余談になるけど、漫画でこういった面白い画に対応するのってコマ内の絵以上にコマ割りなのかと考える。コマ内の絵の構図が面白いというのは絵のうまさに直結しすぎている気がする。

つまり映画の面白い画がそのまま漫画という静止画の連続でも面白いかと言われると全てが全てそうとはいえないが、「映画で言うところのカメラの面白さ」は「漫画で言うところのコマ割りの面白さ」なのでは?という話。

昔漫画を頑張って(?)書いてた頃「君の漫画は何故か見ていてつまらない(要約)」と指摘されたことがあり、何故?と聞くと「分からないけど多分顔アップが多すぎる」と言われて俯瞰の絵を描くようにしたけどやっぱり見ていてつまらないという意見はあまり変わらなかった。その頃は尖っていたので浦沢直樹も全コマ表情が違えばそれは顔漫画じゃないと言っていたし(曲解)(注1)、お前の見る目がないんじゃね?と思っていたが(クソ人間)、確かに今読み返すと全体に流れるテンポや画が一緒でつまらない(本当にすみませんでした)。これはコマ割りが常にワンパターンだったことが原因だったと思う。

縦長のコマは基本緩急の急、横長のコマは緩急の緩。でもその組み合わせだけでなく顔アップだけで画面を作っても縦長のコマを3つぐらい並べてそこに人物の表情変化をつけて書けば緩やかなフレームの動きをつけることが出来たり、これを横長のコマでやればより長い動きに感じるする(と個人的には思う)。ガンダムしか読んでないけど安彦良和さんとか横長連続で見せる画が多いイメージ。

そういう変化が映画のカメラの動きと連動していると今は思っていて、それが滅茶苦茶上手いのが藤本タツキ。特にルックバックはそこが凄く上手くて流れるように読める。ルックバック全てが天才なんですよね。話キャラクターコマ割り全て面白い。コマ割りが面白いとそれだけで読み返したくなる。

しかしまぁ所詮他人のふんどし履いてネットでせこせこ二次創作描いてる人間の戯言。

とにかく藤本タツキは最高!お前も藤本タツキ最高と言いなさい!でも現時点でチェ二部はつまらないと思います!チェチェチェスト!(川崎宗則)

〜終〜

 

注1:浦沢直樹レベルの技術を持ち話を描ける人間が「顔漫画で何が悪い!」というのとパンピーが顔漫画で悪いかと居直るのは話が違いすぎるので注意